ようやく膝裏のケガ(故障)が直った。土曜日のテニス会に復帰した(6月5日)。コロナ禍で中止されていたテニス会も2週間前から再開していた。例のごとく、湾東エリセリートまで3時間半かけて自転車をこぎ、3時間テニス。そして、また同じ道を3時間半かけて帰ってくる、、、のはちょっと芸がない。
特にこのかん「走れないが自転車こげる」状態で、あちこちサイクリングして味をしめた。テニス後はどっか他にサイクリングに行ってみよう。
ということでまたシリコンバレーに行った。BART北エリセリート駅からはオレンジ線1本でサンノゼ方面に行ける。そこからシリコンバレー主要部へは平坦で、快適サイクリングコースだ。
BARTが北サンノゼ(ベリエッサ)駅まで伸びて、湾東からのシリコンバレー行きは簡単になった。しかし、サンタクララ、サニーベイル、マウンテンビュー、パロアルトなどシリコンバレー主要部に行くには、一つ前のミルピータス駅で降りた方が近い。いや、サンノゼ中心部まで行くのにも、VTA路面電車(ライトレール)との接続があるので、ここで降りた方がいい(終点の北サンノゼ駅は接続しない)。BARTがサンノゼ中心部まで伸びるまで、しばらくはミルピータス駅が交通要所になるのではないか。

新装オープンしたBARTミルピータス駅









シスコ(Cisco)本社域
州際高速880号線を越え、さらにコヨーテ・クリークを過ぎると、サンノゼ市域に入る。同市中心部はずっと南だが、過去の活発な合併併合活動の名残でこの辺で北方に張り出し、海の方まで市域が続いている。
同市域内に入ると同時に、シスコ(Cisco)システムズ本社領域がはじまる。タスマン通り周辺に約20の中規模ビルが林立する。1984年にスタンフォード大学の技術者たちによって設立されたネットワーク機器企業で、LANを開発し、ネットワーク技術に強みを発揮する。下記表でわかるように、シリコンバレーでは、アップル、グーグル、フェイスブック、インテルに次いで5位の規模をもつIT企業だ。



アメリカのIT企業ランク、2021年
順位 | 企業名 | SV | 創業 | 売上 | 市場価値 |
(単位:10億ドル) | |||||
1 | アップル | ◎ | 1976 | 294 | 2,300 |
2 | アルファベット | ◎ | 1998 | 182 | 1,500 |
3 | マイクロソフト | 1975 | 153 | 2,000 | |
4 | フェイスブック | ◎ | 2004 | 86 | 871 |
5 | インテル | ◎ | 1968 | 78 | 264 |
6 | IBM | 1911 | 74 | 119 | |
7 | オラクル | 1977 | 40 | 228 | |
8 | シスコ | ◎ | 1984 | 48 | 223 |
9 | デル | 1984 | 94 | 77 | |
10 | ブロードコム | ◎ | 1961 | 25 | 196 |
11 | セイルスフォース | ◎ | 1999 | 21 | 214 |
12 | クアルコム | 1985 | 27 | 157 | |
13 | マイクロン | 1978 | 24 | 102 |
サムスン電子米国本社



インテル、サンタクララ市域に入ってる

写真は、インテル本社ビル群のうちインテル博物館などが入る「ロバート・ノイス」ビル。この建物に見覚えがあり、1990年代に何かの取材で来たのだが、よく思い出せない。確か近くの市民団体を取材した際にこれを見て、「インテル本社がすぐ近いじゃないか」と思ったと記憶している。



もはや半導体製造の街ではないのだから、「シリコンバレー」も過去の言葉になったと言える。


シリコンバレーは汚染のバレーだった
1982年1月、フェアチャイルド半導体工場(南サンノゼ)からのトリクロロエタンなど有害物質漏れで付近の飲料水井戸が汚染されていることが発覚した。周辺で流産、未熟出産、先天性異常の多発なども報告された。シリコンバレー全体での地下水汚染が問題になり、住民運動が高まるとともに、連邦・州政府の規制が強まった。
1992年までの連邦・州の調査によると、少なくとも民間57、公共47の飲料水井戸がハイテク有害物質で汚染され、66カ所の土壌は歩行するのも危険なくらいに汚染されていることが明らかになった。調査された79ハイテク企業のうち65社で、工場敷地内の土壌汚染が確認された。(Jason A. Heppler, “Green Dreams, Toxic Legacies: Toward a Digital Political Ecology of Silicon Valley,” p.81)
米国には、深刻な土壌汚染地域を指定して(「スーパーファンド」地区)、汚染にかかわったすべての企業の責任と資金供出により、汚染除去を行う制度がある(1980年包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)と1986年スーパーファンド修正および再授権法(SARA))。全米にそうしたサイトが約1200カ所あるが、サンタクララ郡にはこれが現在23カ所あり、全米最多だ。現在、清楚な環境の中に立つグーグル・クアッド・キャンパス(本社の南東約5キロ)も実は、このスーパーファンド地区の上にあり、2012年末から2013年にかけて、有害気体が建物の中に漏れる事故が起こっている。
私も以前、こうしたシリコンバレーの汚染問題を告発する市民運動を取材したことがある。シリコンバレー有害物質連合(SVTC)が有名で、シリコンバレーの市民団体らしく、コンピュータを使った汚染地図作成・公開などに力を入れていた。
こうした汚染の過去を持つシリコンバレーについて、上記記事著者Jason Hepplerは次のように言う。
「グーグルやアップルはグリーンなIT拠点を謳歌し、太陽光パネルにおおわれたキャンパスを誇り、毎年、自社が行う環境保護諸施策のレポートを発行する。無論それらはは持続的環境と企業責任に対する誠意ある対応とも言える。しかし、1990年代初めに、シリコンバレーのIT企業はその製造活動を、環境規制が弱く労働力の安い地域に移した。彼らは、その産業の汚染問題を認識するかわりに、ハイテク産業の神話を再構築して環境持続性を前面に出し、ITは優れた人材とアイデアを求めるクリーンな産業であり、「グリーン」な資本主義の未来を国に示してきた、と論じている。」(上記資料、p.83)
インテルはグレートアメリカに近い
サイクリングでシリコンバレーを見て回ると、新しい発見がある。例えばインテルは、グレートアメリカのすぐそばにあるのがわかって面白かった。グレートアメリカは北カリフォルニア最大の遊園地。年間1800万人が入場するディズニーランド(ロサンゼルス近郊)にはかなわないが、サンフランシスコ都市圏では人気の行楽地だ。(入場者数は公開されていないようだが、最も人気あるアトラクションGold Strikerの2018年の利用が65万回人だったとの報告がある。)
インテルとグレートアメリカ、どういう関係があるのか。共に、余った土地があるところに立地したということでもあろう。グレートアメリカの面積は40ヘクタールでディズニーランドと同規模という。




