米SFからイスタンブール経由で日本帰国 最安の5万円台

外国から来る人の方が安全だ

外国から来る人の方が安全だろう。外国出発の72時間以内前にコロナ検査を受けて、日本入国時にまた検査。その両方で陰性になった人だけが日本に入れる。その上、来る外国人の多くがワクチン接種を受けている。諸外国では若い人の間にもワクチン接種が進み、高齢青年の私もすでに3月にワクチン接種を終えている。あなたの周りを歩ている日本人などよりずっと危険の少ない安全な人たちなのだ、我々は。

しかし、外国からの入国者は14日間の自主隔離が求められる(自宅またはホテルなどで)。そこまで行くのも公共交通機関を使ってはいけない。自分でレンタカーを借りて行くか、同居家族に迎えにきてもらうか、高い専用ハイヤーで行かねばならない(成田から都内まで約3万円)。いや、文句は言うまい。特に変異ウイルスを抑えるために、日本国民、そして政府が必死になるのは当然だし、必要なことだろう。

事情でこの8月上旬に日本に帰らねばならなくなった。しかし、その方法で大いに苦労している。私は名古屋市内に自宅があるが、こんな貧困老人がどうやったら自宅にたどり着けるのか。

名古屋の空港から家まで歩く?

私は運転しないし、自転車レンタルも空港にはないから、家まで歩いていく他ない。約30キロ。荷物を宅急便で送り、まあ1日あればたどり着けるだろう。酷暑の季節だが、こういう時こそ、普段から鍛えた体力が役立つ。

が、これはだめとすぐ判明した。関西空港と同じく名古屋空港(セントレア)も、空港島の橋は歩行者通行禁止だ(自転車も)。帰国者を乗せてくれる専用ハイヤーは名古屋市内まで約3万円。空港島の橋を渡ってすぐ下車、などの利用はできないとのことだ。やむを得ない、家族に頼もう。免許を持っているはずの息子にレンタカーで来てもらうか。

SFから名古屋は、安くて片道15万円

しかし、そもそも、サンフランシスコから名古屋までの航空便は皆高いことが判明した。直行便はなく、デトロイト経由とかアジア諸都市経由になるが、普通に片道20~30万円する。15万円くらいのがあると、おお安いぞ、と声を上げるくらいだ(通常なら最安5~6万円から)。しかもその多くが成田経由や羽田経由で、これではだめだ。成田・羽田での入国手続きとなり、名古屋までのフライトは「国内の公共交通機関」になるので乗れない。この辺の事情は関西空港もほぼ同じようで、料金も同様に高い。

いや、名古屋や大阪のように何とか国外からの直行便がある都市はまだよい。それがない地方都市に自宅がある人はお手上げだろう。10万円以上かけてハイヤーで帰宅するなど論外だし、大都市のホテルに14日間自主隔離すればやはり10万円以上が吹っ飛ぶ。

丸1~2日、ネットで安便探し

丸1~2日間は安便探しで、ネットと格闘した。切符を買うためだけに、旅行時間に匹敵するような時間を使うのはばかげている、と思うかも知れない。確かに給料の高い忙しい人にとってはそうだろう。しかし私は違う。これに全力を尽くすことで5万円、時に10万円程度の節約できる。1~2日で5~10万円の稼ぎと思えば、充分ペイする「仕事」だ。

ネット上の安便探しに熟達しているはずの私だが、今回はコロナ禍のため特に難しかった。前述の通り、東京経由便ではだめで、外国から直接名古屋に着く便にしなければならない。出発前のコロナ検査で陽性にでもなれば、フライトをキャンセルしなければならないから、キャンセル不可の通常安便はまずい。こっちがキャンセルしなくても、航空会社の都合による遅延やキャンセルも多いだろう。同一航空会社の接続便など、安全策を取る必要がある。アジア諸都市経由などでも、一旦乗継ぎエリアの外に出る「経由」はまずい。外国出発72時間以内前コロナ検査の義務があるから、(サンフランシスコで検査を受けていても)新たな検査を受けないと搭乗拒否される可能性も出て来る。

まず名古屋着の国際便を調べ、例えば水曜日に台北から着く便があれば、これに接続するよう火曜日のサンフランシスコ発を選び、「複数都市」や「周遊」を指定し「台北」「名古屋」と入力。こんなやり方を地道に繰り返した。1日か2日。根気あるなあ。

むろん、ロサンゼルス発という裏技も調べた。やはりサンフランシスコ空港よりロサンゼルス空港の方が利用客が多く、その分、同空港発着便の料金も安い。サンフランシスコからロサンゼルスまでは30ドル程度のバスで行けるから(所要時間約8時間)、ロサンゼルス発日本行きという手も充分あり得る。実際、一昨年12月にはこの方式で日本に帰った

結論は、前述のとおり、どの方法でも片道20万円超が普通。最安でも15万円程度だった。こりゃだめだ。

イスタンブール経由羽田便が最安だった

しかし、あきらめてはいけない。安便探しには根性が必要だ。脳が発熱するほど知恵をめぐらす。今回のピンポーンは「羽田着安便で入り東京の安宿で14日間自主隔離」作戦だった。

最初、東京での14日間のホテル暮らしはまず無理と思っていたが、よく調べると、1泊2人3000円程度で泊まれる宿が、蒲田(羽田近く)、池袋、新宿などにある。その中には専用シャワー・トイレ・簡易キッチン付きの宿も。これなら15泊でも約5万円だ。うーむ、日本もホテル代が随分安くなってきたものだ。昔は1泊5000円で破格と感じる程度だったが。

また、羽田空港からは検疫所の出す無料周回バスが、蒲田を含む川崎方面、品川方面にそれぞれほぼ1時間おきに運行されている。隔離期間が過ぎて地方の自宅に帰るにも、青春18切符や格安夜行バスが利用できるので大丈夫だろう。

そして決定的なのは東京着の安便。この時期でも、東京着なら名古屋、関空より圧倒的に安い安便がたくさんある。最安は何とトルコ航空のイスタンブール経由羽田着便。日によっては片道5万円台の切符がある。これと安宿を組み合わせて計10万円程度。名古屋着で直接家に帰るより安くなる。

つまり、アメリカから日本に帰るのに西回りでなく、東回りで行くということだ。確かに地球は丸い。そっちから行っても日本に着ける。33時間かかるが、それがどうした。これまで何のために体を鍛え、貧乏旅行で訓練してきたのか。

ネット安便探しは根気が必要

トルコ航空イスタンブール経由羽田行き最安片道切符は約5万6000円だった(8月上旬の便を2週間前程度に買った場合)。これは不思議な切符で、例えば往復切符を買おうとすると2倍以上の13万8000円する(復路を1カ月後に指定)。他により安い便はいくらでもある。通常、飛行機切符というのは片道でも往復でも大差ない料金だ。しかし、これは両者で2倍以上の違いがある。

さらに、イスタンブール経由の羽田行きなのだから、複数都市周遊で「イスタンブール」「羽田」と入力して検索しても同じだろうと試みると、何と約25万7000円と出て来る。5倍近い。あくまで片道切符で「サンフランシスコ発羽田行き」で検索した場合だけ5万円台の格安料金が出る。

(現時点で、同フライトは毎日あり、2週間ほど前に予約すれば、週末などを除いて5万円台がある。サンフランシスコばかりでなく、ロサンゼルスなど他の米国都市、あるいはパリなどヨーロッパ諸都市からもある模様。いろんな第三者予約サイトでなく、トルコ航空から直接買うと1万円以上高くなるが、現コロナ禍の中では融通が利きやすいと判断し、私はそこから買った。)

ネット検索は実に不思議なのだ。どこに格安料金が隠れているかわからない。あきらめないで暇にまかせ、ああでもないこうでもないといろいろ検索しているうちにあっと驚く安便を見つける。今回とは逆に、経由地を直接指定して「複数都市・周遊」で検索した方が低い料金が出てきたこともある。また、ある目的地に行くのに、それより遠いところまで切符を買ってその途中で寄る(経由する)とした方が安くなることもある。ネット上料金設定のAIと人間様の知恵比べ・根比べに勝つ必要があるのだ。

安宿は蒲田が狙い目

私の独断と偏見で言えば、安宿は蒲田が狙い目だ。羽田空港に近く安宿がたくさんあり競争があるからと思われる。池袋、新宿などといい勝負をしている。成田空港に近い成田市の方が地方都市なので安いかと思うと、意外とそうでもない。前記の通り蒲田までなら、空港から検疫所が出す無料周回バスが1時間おきに出ているのでこの面からも都合よい。

蒲田は前にも泊まったことがある。庶民的で、かついろんな人々が居て多様性があり、面白い街だ。フィリピンの旅の最後の方に印象を書いておいた

今回私は、booking.comやagoda.comで安さ上位に出てくるアパート型宿を予約したが、シャワー・トイレ・簡易キッチン付き個室(2人まで可)が15泊で約5万円、つまり一泊約3300円だった。エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、コンロ、電気ポット、簡易キッチン用品、テレビ、無料WiFiなども付いている。駅からも近く、広さも20平米以上ある。物価が高くなったアメリカに慣れた身には、驚くべき料金と感じる。ホントかいな、と思いつつ、最終的な評価は実際に暮らしてみてから、としておこう。